伊豆半島のひみつ

伊豆のお仕事

  • 筑波大学下田臨海実験センター 和田さん

    ■プロフィール

    四国の香川県出身。研究者として下田に来て10年(2019年現在)。地球全体で進む温暖化の影響で、海洋中に溶け込む二酸化炭素濃度も増加し、海水も酸性化傾向にあるそうです。海水が酸性化することで、海洋中に生存する生物達にどのような影響があるのかを研究している、和田茂樹さんにお話しをお聞きしました。

    ■子供たちへのメッセージ

    自分がやりたいと思ったことは、粘っこくやっていってください。色々なことをやっていきながら、好きな事をみつけて、極めるためにそこに集中していって欲しいと思います。

  • 筑波大学下田臨海実験センター 和田さん

  • 普段されているお仕事の内容を教えてください。
    筑波大学の教員として、海の酸性化という海洋の環境変化に伴う海洋生物への影響を研究しています。月に数回、下田から数時間かけて筑波大学に行き、講義や大学関係の仕事もしています。ここ下田では、技術職員のサポートを受けながら下田付近の海洋や式根島付近で海洋調査をしたり、学生を引率して臨海実習を行っています。
    いまのお仕事を選んだのはなぜですか?
    幼稚園の頃から科学者になりたいと思っていました。きっかけは、子供向けの雑誌で、『50億年後に太陽が無くなってしまう』という記事を読み、地球の存続を子供ながらに1か月余り悩んでしまいました。解決方法として、ロケットを作って地球から脱出することを考えていました。そのような事を考えている時に、宇宙や科学に興味を持ち、科学者になりたいという思いを抱くようになりました。
    お仕事でいちばん大変なことはなにでしょうか?
    海洋の環境調査のため船に乗る事が多いのですが、船酔いがひどく10年経ってもそれほど改善されないため、船酔いしながら仕事をすることです(笑)。また、式根島など、遠距離かつ長期滞在になってしまうと、家族とふれあう時間が無くなってしまうことです。
    また、大学の教員なので、講義や大学の仕事もしながら、自分で研究プランを立て年に2~3本論文を作っていくので、効率よく時間を管理することも大変なんですよ。

  • 筑波大学下田臨海実験センター 和田さん

  • お仕事でいちばん気を付けていることはなにでしょうか?
    自分の研究をする上でサポートしてくれる、技術職員の皆さんの助言を必ず守る事です。陸上を対象とした研究者は、単独で調査をしたりすることも可能ですが、私の研究は、海洋が対象です。海洋となると、気象条件により命に係わる事もあります。経験のある技術職員のアドバイスを元に、研究対象の海洋生物の生息地に行ったり、これから先の気象条件を推測し、調査を中止することもあります。自分のやりたい研究をしたい研究者が多いのですが、ここでは、技術職員に相談した上で、安全性や法律を守りながら研究・調査をしています。
    なぜ、伊豆でお仕事をしようと考えたのですか?
    私が生まれた香川県の実家の直ぐ裏側は海ですが、外洋と繋がっていない瀬戸内海でした。しかし、下田の海は外洋に繋がっていて、日本一深い海溝がある駿河湾も近くにあります。このため、ジオパークという観点では、伊豆半島ジオパークや、現在研究調査対象としている、大島ジオパークや式根島など、下田近辺の海は、非常に面白く感じています。特に、海洋酸性化という研究に対して、式根島は、火山性の泡が沸いているところがあり、僅かな距離の中で海洋中の二酸化炭素の濃度や海水のPhが異なります。二酸化炭素濃度の違いから、未来の海洋の生態系を観察できる絶好の場所です。将来、海の二酸化炭素濃度は高くなり、酸性化すると貝類を中心とした生物が、海の中で生きられなくなってしまうかもしれません。
    あなたにとって伊豆とは?
    起伏に富み、複雑な地形がたくさんある伊豆半島ジオパークが大好きです。妻もジオパークに行くのが好きで、一緒にいろんなところを散策しました。複雑な地形がたくさんあるという事は、そこでの環境も多様ということになります。多様性に満ちた伊豆半島はでは、研究テーマの幅も広がり、研究をしていておもしろいと感じます。
    伊豆は、海がきれいで、都心とも電車でつながっているので暮らしやすい場所です。
  • 筑波大学下田臨海実験センター 和田さん

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